2009
09.20

ファイル・シェアリングをめぐるイギリスの音楽界の動きが、なかなかおもしろいことになっています!事の発端は、英政府が新たに採用したDL規制法案。音楽などのファイルを違法ダウンロードしたユーザに対し、ネットの利用を制限するという罰則を与えるこの新たなルールに、The Featured Artists Coalition(有名アーティスト連合、みたいな。以下FAC)に所属するRadioheadのEd O’brienやPink FloydのNick Masonらが断固反対。「ファイル・シェアリングは結果的に音楽ファンを増やしているし、罰則を科したところで抜け道がいくらでもある」という理由で抗議しました。

で、てっきりこのまま政府 VS FACという構図で対立が続くのかと思いきや、ここでパンクっ娘Lily Allenが噛みつきました!MySpaceのブログにて第三の立場からメッセージを発表しておりまして、これがなかなか興味深かったのでやや長めになりますが今回は全訳をご紹介。

My Thoughts on File Sharing – Lily Allen’s MySpace Blog

My Thoughts on File Sharin’

 しばらくブログさぼってたけど、ちょっと時間をとって自分の考えを書いておこうと思う。音楽の違法コピーのせいで、イギリスの音楽業界がものすごい危険にさらされているのに、ピンク・フロイドのニック・メイソンとかレディオヘッドのエド・オブライエンみたいな、一部のマジで金持ってる勝ち組アーティストには、それが分からないみたい。先週の「Times」の記事で、あのバカでかいバンドにいる方々は”ファイル・シェアリングは素晴らしい”って言ってた。きっと彼らにとっては、アリーナ・ツアーのチケットをソールドアウトさせて、世界でも有数のフェラーリのコレクションを持ってる、彼らにとっては、それはもう”素晴らしい”ことなんでしょう。でもね、まだ若いアーティストにとっては、ファイル・シェアリングはものすごい災難なの。どんどんどんどん、若い才能が芽を出しにくくなってる。コレが「Times」の記事のリンクね。

 メイソンとオブライエン、そしてFACは、ファイル・シェアリングは「サンプラーのように、友達の音楽を記録するようなもの」って言ってるんだけど、でもミックス・テープやラジオから録音した音源ってのは、今横行しているファイル・シェアリングとは根本的に違う。ミックス・テープの音質って昔はひどかったから、みんなちゃんと本物を買ってた。ミックス・テープに入ってる曲が気に入ったら、DJにカットされることなく最後まで聴きたい!って思うでしょ。でも、デジタルな領域では、違法トラックの音質は実際に売られている曲と比べてもそんなに変わらないから、わざわざ音源を買う必要もなくなっちゃう。さらにFACは、フィルシェア・リングは素晴らしい、なぜならそれは「我々にとって新たな世代のファンの登場を意味するからだ」とも言ってるんだけど、そりゃあ素晴らしいことよね。キャリアも終わりに近づいて、オーディエンスに売りつけられる名盤をたっぷり抱えてる、ビッグなアーティストにとっては。でも、駆け出しのアーティストにはそんな余裕はないの。要するに、”我々は大丈夫、我々はもう売れた、だからファイル・シェアリングは素晴らしい”ってのがFACの言い分で、それってこれから音楽業界で成功せんとする若い世代にとっては、ものすごーく不公平なわけ。

 いざ音楽の道を行こう!ってときに、最初っからフェラーリに乗って走り出せるやつなんでいないでしょ。それどころか、レコード会社にバカでかい借りを作って、それを返すために何年間もムダな時間を費やすハメになるんだから。契約を取るためには、アルバムを売り込むためのかわいいヴィデオやポスターとか、そんなのがたくさん必要になるし、その費用はアーティストが自ら負担しなきゃならないの。私もちょうどレコード会社にツケを返しきったばかりで、なんとか上手いこと払い終えることができてラッキー、ってかんじだったけど、みんながそうラッキーになれるわけじゃあない。そんなの大したことないじゃん、って思うかも知れないけど、新人が成功しにくくなれば、もちろん新人を見る機会もへるし、このままではサイモン・コーウェルに貢ぎまくるだけの操り人形になるほか、イギリスの音楽界の未来はなくなってしまう。(注:サイモン・コーウェル – アメリカン・アイドルをはじめとるするオーディション番組のご意見番)

 それに、違法ダウンロードに代わる手段がないってわけでもないでしょう。Spotifyみたいなサイトを使えば、何もコピーすることなく色んな新しい音楽にアクセスして、曲を買う前に試聴することもできる。それに、なんてったってMySpaceを使えば、私みたいなアーティストでも曲を配信してたくさんのファンを味方につけることができるし、そうやって自分の人気を証明できれば、レコード会社も契約に乗りだしてくれる。

 こういうことを言っていると、私がレコード会社のお偉いさんにヘーコラしているように聞こえるかもしれないけど、それは違うからね。レコード会社はずっと新しいテクノロジーを見くびって自分の殻にこもり続け、稼いだお金を片っ端から私欲を肥やすためだけに使い切り、これっぽっちも産業の発展に役立てようとしてこなかった。しかも、違法ダウンロードによって売上げがガクッと落ち始めてからも、自分たちの給料をカットしようとはせず、その代わりにA&Rへの投資を縮小させたんだから(訳注:A&R – Artist and Repertoireの略、新人の発掘を担う部署)。お金が足りなくなったA&R担当者は、リスクを取れなくなって無難なアーティストとばっかり契約を結ぶことになっちゃって、やっぱりイギリスの音楽界をコーウェルの操り人形になってしまう。

 これが、私たちの望んでいた音楽の未来なの?私が海賊行為と闘えば、それは明らかに自分の利益を優先することになるんだけど、それでも闘いをやめてしまえば、イギリスの音楽をますます苦境に追い込むことになる。

 今世の中に揃っているものが完璧だとも思えない。クレジットカードを持てないキッズたちはインターネットで自由に買い物ができないから、ママの財布からカードを盗むか、違法ダウンロードに手を出すか、っていう状況に追い込まれていて、そんなのはバカげてる。レコード会社の役員、アーティスト、プロバイダ、そして政府の人間が、一堂に会してじっくり話し合ったりするべき。私はこれから南米ツアーに出かけるところなんだけど、イギリスのアーティストたちにメールを書いて、この事を伝えるつもり。ファイル・シェアリングが音楽にとってOKなわけない。消費者が合法的に音楽にアクセスして購入するための新しい方法を、私たちは探さなきゃいけないんだけど、”ファイル・シェアリングは素晴らしい”と言い切ってしまうことは誰の助けにもないし、そしてどう考えてもイギリスの音楽にとって助けにならない。たくさんの人々を結束させて、新たなデジタル技術の可能性でもって新人アーティストを活気づけなきゃね。

筋は通したぜ!ってかんじで超頼もしいです。リリー・アレン、見直しました。後半で「他のアーティストにも呼びかけてみる」というようなことを言っていますが、早速MuseのMatthew Bellamyからリアクションがあったようで、これは今後も多くのアーティストを巻き込んでもりあがりそうな予感が。注目です!

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